こんな育ち方をしたB君は大学卒業後、すぐにお父さんの経営する建設会社へ入社しました。
小さな会社でしたが、社長の息子ということで入社して3年もすると、さっそく彼のとりまき、いわゆる腰ぎんちゃくグループができました。これも、B君のわがまま型の性格をさらに強化させることになりました。
機転がきくことと、その強引さで一応の仕事ができたことから、やがて若くしてお父さんの後を継いで、社長になりました。
しかし、しばらくすると、あまり部下の意見を聞かず、自分のやり方を強引に押し通すB社長に見切りをつけて、優秀な人たちがだんだん遠ざかり始めました。
B社長の方でも、社長である自分のやり方に従わない社員を煙たく思っていましたから、父の代から勤めていた社員が定年前に辞めることになっても、それほど気にしませんでした。
B社長についているのは、例の腰ぎんちゃくグループです。彼らは、たとえB社長の仕事のやり方がまずいと思っても、それを口に出すことなどしません。会社の将来よりも、自分の保身が大事なイエスマンばかりです。
その結果は、皆さんの予想のとおりです。徐々に会社の業績が悪化し始めました。
業績が悪化すると、B社長はますます自分のやり方に固執します。自分の考え通りにならないのは、社員のやり方が中途半端だからだと、さらにハッパをかけます。
しかし、こういう会社は一人ひとりの社員が、「良い仕事を目指す」ことで結びついているわけではありませんから、小さなほころびでも、全体が崩れるのはあっという間です。
わずかな金額の不渡りを1度出しただけで、日頃は、「B社長に一生ついていきます。」などと言っているイエスマン達も、沈み始めた泥舟から、我先にと逃げ出してしまいました。
小さなきっかけで、あっけなく会社は倒産してしまいました。
奥さんも子供達も本人の暴君ぶりに愛想を尽かして家から出て行きました。
こんなストーリーが、よく小説や映画でありますね。ここにあげたのは、わがまま型の人物が育っていく極端なパターンですが、B君に対するまわりの人の接し方が、彼のわがままな性格をどんどん強化していったというのが良くわかると思います。
わがまま型の問題解決パターン
この人の問題解決のパターンは次のようになります。
問題が生じる
↓
自分で解決しないで、それを人に押し付ける
↓
押し付けられた人が仕方なくそれを肩代わりする
↓
本人に問題解決能力が育たず、人に押し付けることで結局、人に依存する
↓
成長するにつれて、解決すべき問題も更に大きくなる
↓
ますます人を利用する
↓
自分で解決しないで、それを人に押し付ける
↓
押し付けられた人が仕方なくそれを肩代わりする
↓
本人に問題解決能力が育たず、人に押し付けることで結局、人に依存する
↓
成長するにつれて、解決すべき問題も更に大きくなる
↓
ますます人を利用する
このように、自分に起きた問題なのに、その解決を人に押し付けるわがままな本人と、それに振り回され迷惑と思いながらも、問題解決をしぶしぶ肩代わりするまわりの人の存在によって、わがまま型は強化されていきます。
このような、人間関係の在り方を、わがままサイクルとでも名付けておきます。
さて、わがまま型から立ち直る道、わが子をわがまま型にさせない道とはどんな道でしょうか。次回はわがまま型から立ち直る道を考えます。
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