2006年02月15日

1. 甘やかされ型



甘やかされ型が育つパターン

↓ ↓

立ち直る道



家庭で
Aさんはある家庭の末っ子として生まれました。お父さん、お母さんのほかにおじいさん、おばあさん、兄、姉がいます。

末っ子ということで専業主婦のお母さんはもちろん、孫のかわいがり競争をしているような祖父母の間で、小さい頃から何かあると家族が面倒を見てくれました。
食事の時には、ご飯をこぼすからとおばあさんがスプーンで口に運んでくれます。幼稚園に行く前毎朝、着替えるのに時間がかかるからと、ボタンをかけてくれたり、靴下を履かせてくれます。

兄弟げんかをすると、多くの場合叱られるのは兄や姉の方です。近所の遊び友達とケンカになれば、今度はその兄が助けてくれます。

全部こんな調子でしたから、Aさんは日常の色々なことがなかなか自分でできるようになりませんでした。何かやらなければいけないことがあっても、自分から進んで素早くやるということができません。

ぐずぐずしていると、たくさんいる家族の誰かがAさんの気持ちを察して、すぐ手を出してAさんの代わりにやってくれます。

そんな育ち方の中で、Aさんの潜在意識の中には、『自分がやりたくないことや、ちょっと難しいことがあるときは、困ったり弱ったりした様子をすると、何も言わなくても人が助けてくれて、結局うまくいく』という知恵が身についていきました。

学校で
さて、このAさんが小学校へ上がりました。
「ハンカチ持った?ティッシュは?名札忘れてるわよ。」と母親が毎朝面倒を見てくれるのは相変わらずです。
風邪気味などのときは、母親が「いつもお世話になります。熱があるので体育を休ませて下さい。」と丁寧に連絡ノートに書いてくれるので、それを先生に渡すだけです。Aさんは何も言わなくても用件が済んでしまいます。

算数の授業中に、先生がAさんを指名して質問しました。Aさんは、立ったまま何も答えず、いつまでもモジモジ恥ずかしそうにしています。
先生は時間もないし、かわいそうになって「もう座っていいよ…。」と言いました。
本人は「助かった。」と思うと同時に、潜在意識の『問題がおきたときは、困った、弱ったという様子をすると人が助けてくれる』という条件反射が、ますます強化されることになります。

中学校で
朝ぐずぐずして遅刻しそうになると、学校の近くまで車で送ってくれます。
進路の話し合いのための三者面談でも、先生の質問にほとんどお母さんが答えます。

お母さんにすれば、「この子は心の優しい子で、自分の気持ちがうまく言えないので母親である私が彼女に代わって、彼女の気持ちを代弁してあげている。」ぐらいのつもりです。悪気などこれっぽっちもありません。むしろ、彼女のために人一倍の愛情を注いでいると思っています。

結局、高校も母親が決めたところに進学しました。

社会で
こんな育ち方をした人は、社会に出てどうなるでしょうか。何か困難な事にぶつかると、すぐ仲間や上司に助けを求めるでしょう。

家庭や学校では、みんなが助けてくれました。でも、社会では、自分で問題を解決しようとしないで、他人に頼ってばかりいるような人は、まわりの人から相手にされなくなってしまうでしょう。

依存サイクル
これは甘やかされ型の人間が育つ極端なパターンですが、Aさんに対するまわりの人の接し方が、Aさんの性格をドンドン強化していったというのが分かると思います。

分かりやすくするため、極端な例を述べましたが、これに類する事は私たちのまわりでいくらでも行われているのです。

問題が起きる

本人が助けを求める

まわりの人が「肩代わり」をする

本人に問題解決能力が育たず人に依存するようになる

大きくなるにつれて、解決すべき問題もさらに大きくなる

ますます人に依存する



こういう人間関係は、同じところをぐるぐる回って、本人の依存をどんどん強化していきますから、このサイクルを『依存サイクル』と呼びます。

学習の場面でも同じ状況が見られます。難しい問題を前にしたとき、甘やかされ型の生徒は、あまり考えずに「分かりません。」と安易に質問したり、逆にじっとして何もせず、先生が救いの手を差し出すのを待っています。

教えられても、自分ではあまり考えていないので、先生の説明を受身で聞いているだけです。
そのときは分かったつもりになっても長い目で見るとほとんど身に付きません。

さて、こんな育ち方をした甘やかされ型の人間が、依存から立ち直るにはどうすれば良いでしょうか。

甘やかされ型は、本人に起こる問題をまわりの人が肩代わりして助けることで生まれ、強化されていきました。

甘やかされ型が強化される依存パターン

問題が起きる

本人が助けを求める

まわりの人が「肩代わり」をする

本人に問題解決能力が育たず人に依存するようになる

大きくなるにつれて、解決すべき問題もさらに大きくなる

ますます人に依存する



さて、こんな育ち方をした甘やかされ型の人間が、依存から立ち直るにはどうすれば良いでしょうか。

依存から立ち直る道


一番簡単なのは、本人が甘やかされていること、まわりの人や環境に依存していることに気がつき、自分で『依存を切ろう』と決心することです。

それに気がつくきっかけはどんなことが考えられるでしょう。

自分の生活を振り返る意味でも、子ども達に『伝記』を読ませることはお勧めです。

シュバイツアー、野口英世、源義経、豊臣秀吉、吉田松陰、坂本龍馬、二宮尊徳、アレキサンダー大王、ジャンヌ=ダルク、ナポレオン、リンカーン、孫子、孫文、毛沢東、…。

適当に挙げてみましたがきりがありません。その多くが、厳しい環境の下で自分の身に起こる幾多の問題を、努力を重ねて乗り越えた人たちです。

もちろん多少の脚色はあるでしょうが、精神が比較的純粋で柔軟な時代に、伝記に残されているような人たちの生き方を学ぶことは非常に意義深いことです。
その中で、自分の境遇ややっていることと照らし合わせ気づきを得ることも多いと思います。

しかし、最近の子どもたちは読書をしませんし、書店に行っても、伝記そのものがありません。見かけてもほんのわずかです。これはとても残念なことです。

伝記以外でも、自立した生き方を学ぶことができないわけではありません。

例えば子ども達に絶大な人気の『ハリーポッター』や最近話題の『チョコレート工場』、日本発の『ポケモン』等も、甘やかされ型を始めとする色々なキャラクターが出てきます。

主人公も最初はどこにでもいる子ですが、それが色々な試練を乗り越えて自立した人間に成長していくというところは、いずれにも共通しています。
ただし、それが魔術や幽霊、現実には無い世界でのストーリーになっているために、超能力や面白さばかりが目立ってしまっているのは仕方の無いところかもしれません。

本や映画以外にも昔は、学校の先生や、大工の棟梁、近所の頑固親父など、物事の道理や大げさに言えば人の生き方を教えてくれた人が身近にいたものです。しかし、最近そういうおせっかいをやく人間が少なくなりました。

「父親は背中で生き方を見せる」とも言われましたが、今では父親が仕事をしている姿を見たことの無い子どもの方が圧倒的に多いでしょう。

テレビを見れば、人をだましたり、不正を働いて逮捕された大人のニュースが毎日流されています。
それに、今人気があるといえば、異常な発言や行動、派手なコスチュームなどが目立つお笑い系の番組、ドラマでは不倫や殺人、風俗の世界を描いたものまであります。

中学生が夜遅くコンビ二で買い物をしていても、高校生が街中でタバコを吸っていても注意する人は極まれです…。

なんだかだんだん、うるさい親父が個人の愚痴を言っているだけという気がしてきました(笑)。
この辺で終わりにしましょう。

いずれにしてもこう考えてみると、今の子ども達にとって、「本人が甘やかされていることに気がつき、自分で依存を断ち切る決心をする」ということは、難しい世の中になっていると思います。

本人が気がつかない、気がついてもその気にならないときはどうすればよいでしょうか。

上の依存サイクルに示したように、依存は

問題が起こる

本人が助けを求める

まわりの人が肩代わりをする

ことで生まれます。

最初の「問題が起こる」は変えようがありません。人生は問題の連続です。
次の「本人が助けを求める」も、甘やかされ型の子どもなら当たり前の行動です。助けを求めずに自分で解決しようとするなら、それはすでに甘やかされ型ではありません。

依存サイクルの中で、変えることができるのは、3番めの「まわりの人が肩代わりをする」部分です。
簡単に言えば、「肩代わり」の部分をやめることです。

しかし、まわりの人が肩代わりを続けるのは理由があります。
一番大きな理由は、「その子には、まだそれをやるだけの能力がない。」と考えていることです。

それをやめさせるためには、
まわりの人自身が、人間の持っている能力に確信を持つことと、
いつまでも肩代わりを続けることは、その子の成長を妨げるということをわかることです。

もちろん、物事には順序やステップがあります。
普通は、今まで甘やかしてきたことを、いきなりすべて「自分でやれ」というわけにはいきません。

「やって見せて、一緒にやってからやらせる」という言葉がありますが、ステップを踏む必要があります。
最初は一つのことでも、あるいは部分的なことであってもいいですから、少しずつ本人がやれることを増やしていくのです。そして、不十分であっても、本人がやったことを認めていくことです。

それを続ける中で、本人の潜在意識に組み込まれた
自分がやりたくないことや、ちょっと難しいことがあるときは、困ったり弱ったりした様子をすると、何も言わなくても人が助けてくれて、結局うまくいく』という条件反射が、『自分でもできる』『自分にはそれをやる能力がある』というものに書き換えられていきます。

依存というものは、動物の赤ちゃんと違って、人間が何もできない無力な赤ん坊として生まれてくるという宿命の中で、まわりの人が間違った対処を続ける時に、その人がかかる病なのです。

次回は、「わがまま型」について考えます。
posted by 日々 学 at 15:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

生きる力につながる学習

当塾では子どもが将来の社会で幸せに生きるためには、大きく考えて2つの能力、すなわち『判断力』と『意思力』が必要であると考えています。
細かく考えれば、集中力とか、語学力、コミュニケーション力、計画を立てる力等々、色々考えられると思いますが、私たちはそれらの基礎になる力として判断力と意志力、この2つの能力を考えています。


判断力は、簡単に言えば物事の善悪を判断する力です。
やってはいけないこと、やらなくてはいけないことを判断する力です。

その判断力を実行するのが意思力です。やってはいけないと判断したことはやらず、やらなくてはいけないと判断したことを実行するのが意思の力です。

判断力のない意思は我流に流れます。ブレーキやハンドルが壊れた自動車のようなものです。暴走してどこに激突するか分かりません。
判断力が未熟なまま社会に出たら、他人利用されるだけの人生になる可能性があります。

逆に意思力のない判断は何の成果も生み出しません。エンジンのない自動車ののようなものです。いつまでたっても動きません。
意思が弱いままで社会に出たら、自分の人生で成し遂げられることはほとんど何もないと言っても過言ではないでしょう。


判断力と意思力。私たちは、この2つの能力を普段の学習指導を通して身につけさせることを目指しています。それらについて述べる前に、それらの能力のさらに基礎となる能力や性格の発達について考えてみましょう。
なぜなら、本人の性格や能力の把握なしには、真の個別指導は不可能と考えているからです。

人がとるさまざまな態度や行動は、その人が意識するしないにかかわらず、その人のそれまでの人間関係が大きく影響をしています。その中でも特に、生まれてすぐに接し、生命をゆだねる父母とその家族の人間関係が非常に大きな影響を与えます。

そこで親子のさまざまなタイプを通して、父母を中心とした人間関係とそれが性格や能力に与える影響について考えます。
ここではそれぞれのタイプを大まかに次の7つに分けました。


(1) 甘やかされ型
(2) わがまま型
(3) 無気力型
(4) 反抗型
(5) 無知型
(6) 我流型
(7) 自立型


次回から、それぞれの型について、おちいりやすい典型的な例と、その対策について考えます。

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posted by 日々 学 at 14:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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